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TPP参加は残忍な日米FTAの始まり

記事下に出る広告は忍者ブログの仕様でブログ主は関与していません。背景画像はアメリカ国内で行われたTPP反対行進写真です。(TPPとは「自動車」「郵政」「農業」「医薬品・医療機器」などが含まれる「投資」「金融」「通信」「工業」などをはじめとする24もの部会がある原則関税撤廃というルールと交渉内容は非公開の合意のある、初めはニュージーランドなどの小さな国がやっていた貿易協定でしたが2008年から事実上米国が乗っ取って主導権を握り、参加国と米国だけは保護主義で、一方的に自由化を求める米国との過酷なFTA状態になっているものです。)

   

移転しました。


TPP参加で更なるデフレ不況になり、庶民が貧乏になる

TPPは全世界で反対されている、自由貿易ではなく公正貿易が必要

TPP加盟国であるニュージーランドのTPP反対の大学教授 ジェーン・ケルシー教授 仙台講演会 議事録

ニュージーランドのTPP反対者 ジェーン・ケルシー:TPP講演「異常な契約」

「TPP」とは一体何か?国家戦略室の資料を読めば問題点がわかる

アメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体

米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか「TPP亡国論」著者が最後の警告!

日本の医療をグローバルスタンダードに引きずり落とすな TPP参加で確実に生じる医療格差

TPP「交渉後の離脱も可能」は推進論者の詭弁!日米関係悪化を脅しとした協定締結が狙いだ

TPP参加は農家だけでなく日本国民すべてに被害を及ぼす自由貿易原理主義は危険だ

中野剛志:TPPはトロイの木馬──関税自主権を失った日本は内側から滅びる

鈴木宣弘:TPPをめぐる議論の間違い ── 推進派の俗論を排す

「アンカー」東谷暁氏が解説“報道されないTPPの真実”

「アンカー」東谷暁氏解説第2弾 TPP参加で日本に迫る知られざるリスク

考えてみようTPP

【TPP―医療(1)】財界の狙いは医療ビジネス拡大――アメリカ資本の参入で皆保険制度、解体の危険 日本文化厚生農業協同組合連合会・代表理事理事長 武藤喜久雄

 TPP(環太平洋経済連携協定)の全貌

 農業に関するTPP参加の経済効果のシミュレーション :GTAPモデルによる推計 高増 明・関西大学社会学部

TPPのウソと真実(前編)

TPPのウソと真実(後編)

カテゴリー「TPP 社説・論調」の記事一覧
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毎日 産経 中日 読売 朝日 8日~11日TPP社説

社説:TPP先送り 首相はぶれずに決断を 毎日新聞 2011年11月11日 2時31分


 政権発足以来2カ月余。早くも正念場に立たされていることは野田佳彦首相本人も承知だろう。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題について、政府・民主党は党内外に強まる反対論を受けて11日に結論を先送りした。

 参加に前向きな野田首相の考えは変わっていないという。だが、ここで方針がぐらつくようでは、首相のリーダーシップや決断力に大きな疑問符がつき、今後の政権運営にも支障を来すことになる。首相は11日には自ら参加の意思を明確に表明し、12日から始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や日米首脳会談に臨むべきである。

 「余計なことは言わない」「突出はしない」という野田首相流に慎重な手続きを踏んできたつもりだったのだろう。TPP交渉参加問題に関し、首相は臨時国会開会後も自身の考えを明確に表明することなく、民主党内の議論を見守ってきた。そして10日に政府と党の意見を集約し、自ら記者会見して交渉参加を表明して国民の理解を求める算段でいた。

 ところが、民主党内の反発の強さは首相の予想を上回るものだったと思われる。党のプロジェクトチームは方向性を打ち出せなかったばかりか、党内に反対論が多いことを踏まえて「慎重に判断」するよう首相に求める提言を提出した。一方、自民党や公明党などからも反対意見が強まり、首相としてもここで強行突破しては今後の国会運営にも悪影響を及ぼすと判断したとみられる。

 自由貿易圏づくりへの参画は日本の経済発展に不可欠だとの考えから、かねて私たちはTPPへの参加を求めてきた。農業問題をはじめ懸念材料は多々あるが、それは今後の交渉の中で払拭(ふっしょく)していくほかないというのが私たちの立場だ。

 もちろん、国の将来を左右するテーマであり、国民一人一人の立場によって、その利害も異なる難問だ。だが、さまざまな意見を調整し、最後は何が国全体、国民全体の利益となるかを判断し、結論を出すのが政治の、そしてトップの役割だ。

 首相はここまであまりにも自身の考えを示すことに消極的過ぎた。それが民主党内の反対論が収束するどころか、かえって拡大する要因になったのではないか。また、TPP参加によるメリットとデメリットは何か、政府は国民にきちんと情報を提示してこなかった。これが国民の不安を増幅させているのも事実だ。

 野田首相は「1日よく考えさせてほしい」と語った。1日延期したからといって、反対派が賛成に回ることはないことも首相は承知しているはずだ。決断が遅れるほど、政権への信頼も失われていくだろう。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111111k0000m070123000c.html



TPP 首相は迷わず参加決断を 産経
2011.11.10 02:55 [主張]

 野田佳彦首相の政治決断に日本の将来がかかっている。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加問題である。

 極めて遺憾なのは、民主党の経済連携プロジェクトチームによる提言が、参加の方向性を打ち出すことができなかったことだ。

 首相はこれまで、民主党の結論を受けて最終判断するとの考えを示していたが、このような事態になった以上、10日の記者会見で参加方針を表明するしかない。

 首相は9日の衆院予算委員会で「議論が熟した段階で一定の結論を出す」としたうえで「実質的な判断をしたい」と語った。

 貿易立国としての日本の繁栄を守るという、国家の指導者の責務を果たさねばならない。

 12日から米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも、首相は自由貿易が日本の国益そのものであると明確に示す必要がある。

 民主党の提言は、交渉参加に対して慎重な議員も含まれる役員会で、8日深夜までに原案が作成された。

 「慎重な意見が多数だった」との文言を明記し、政府が留意することなどを求めた。交渉に参加する場合には、農業や医療の分野への影響を避けるべきだとの考えを盛り込んだ。また、首相の判断は縛らない内容とされた。

 だが、その後になって慎重派の代表である山田正彦元農水相が「政府に対する制約がかかったと考えている」と党執行部を牽制(けんせい)し、慎重派の要求で、交渉参加の判断について「慎重に」との文言が加えられた。

 参加方針をまとめることができなかった執行部の責任は大きいが、首相の責任も免れない。

 首相がまず交渉参加の方針を明確に示した上で、党内の慎重派を説得し、理解を求める手順を踏まなかったからだ。

 TPP問題では、みんなの党を除く与野党各党が交渉参加に慎重論や反対論を唱えている。

 自民党もAPEC首脳会議での参加表明に反対する見解を決定した。しかも、党内には野田首相がAPECで参加を表明した場合には、内閣不信任決議案を提出するよう求める声もあるという。

 これでは、自由貿易を阻害する無責任な政党とみなされかねないだろう。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111110/plc11111002550003-n1.htm



【社説】
ルールづくりは戦いだ TPP交渉を決断へ 中日

2011年11月10日


 世界貿易機関(WTO)の自由化交渉が難航する中、環太平洋連携協定(TPP)の焦点は新しい貿易ルールづくりだ。日本も正面から取り組まねば…。

 民主党がTPP参加の是非をめぐる政府への提言について協議した。推進派と慎重派が党内を二分したため、しこりが残るのを恐れたのだろう。「交渉入り」をめぐる明確な結論は避け、最終判断は野田佳彦首相に委ねられた。

 これを受けて首相は十日、交渉入りの姿勢を表明する。
 難航する多国間の交渉

 首相はこれまで「早急に結論を出す」と言うばかりで、なぜTPPに参加するのか、その理由について発信を怠ってきた。

 それどころか市場参入規制をめぐって、日本郵政グループに民間の保険会社より有利な商品を認めている扱いについて米議会関係者が議題にするよう求めてきたのに政府はその事実を隠してきた。 

 交渉が生活にどんな影響を及ぼすのか、国民は心配している。こうした説明を避ける姿勢は政府への不信を募らせるだけだ。

 貿易交渉の潮流は大きく変わってきた。TPP交渉を主導する米国のお家の事情もある。そこに目を向けなければならない。

 自由貿易のルールづくりは一九四八年、関税貿易一般協定(ガット)を舞台に始まり、WTOに引き継がれた。ところが、百五十に上る国・地域が加盟しているWTOでの交渉は難航し、新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)は開始から十年たった今も合意のめどが立っていない。

 WTO閣僚会合では、中国とインドが農産品輸出大国の米国に対して、セーフガード(緊急輸入制限)の発動条件を緩めなければ交渉には応じられないと牽制(けんせい)した。新興国の発言力が強まって、当初の交渉日程は大きく後にずれこんでいる。
 主役は自由貿易協定に

 そこで登場したのが、二カ国以上が互いに関税などの削減・撤廃を約束する自由貿易協定(FTA)だ。多国間交渉を補完する狙いで八〇年代から締結国が現れ、九〇年代以降、一気に増加した。WTOの機能低下が背景にある。

 世界には二百近いFTAが存在している。二国間にとどまらず北米自由貿易協定など複数国にまたがるFTAも実現し、重層的な貿易網が形成され始めた。

 TPPもFTAの一種だ。チリなど四カ国で二〇〇六年に発効した当初のTPPに米国が参加を表明し、拡大交渉を主導している。それは互いに自国に有利なルールをつくることが目的だ。

 ルールづくりの主役が世界規模のWTOからTPPを含めたFTAに移っている現実を日本もしっかりと直視しなければならない。

 カーク米通商代表は「アジア太平洋地域は米国の輸出、雇用を増やす」「TPP参加国は最高水準の拘束力のある協定を手に入れるだろう」「影響を及ぼす場所はアジア太平洋経済協力会議(APEC)だ」と語った。米国の通商戦略を端的に言い表している。

 オバマ米大統領は今後五年間で輸出を倍増して二百万人の雇用を生み出すと表明した。米国の照準は成長著しいアジアに向かっている。例外なき関税撤廃などのルールを強化しつつ、ゆくゆくは二十一カ国・地域で構成するAPECを土台にして、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を実現するもくろみだ。

 リーマン・ショックで米国の金融資本主義は大きく揺らいだ。世界の国内総生産(GDP)の約六割、貿易量も半分を占めるまでに膨らんだアジア太平洋の成長を吸い上げ、高水準にある失業率を低下させたい。それには自国に都合のよい貿易ルールづくりが早道と腹を固めている。

 米国とすれば、自分たちが主導して新しいルールを広め、豊かな成長を達成することによって、やがては中国もひきつけたい。そんな狙いがある。

 貿易交渉はルールづくりの戦いだ。その行方は日本経済の浮沈も決定づける。WTOの全加盟国が合意したルールを一律に適用する従来の方式から、FTAがより高い水準のルールを決めて自由化を先導していく。そんな現実から目をそらしていいのだろうか。

 日本が腰を据えた交渉をためらっていては、不都合な貿易ルールを強いられかねない。コメの例外扱いも交渉の中で実現していく道を探るべきではないか。
 日本が米中の橋渡しも

 日本の最大貿易相手国は中国だ。TPPがゴールではない。たとえば「東南アジア諸国連合+日中韓FTA」を視野に入れながら、日中韓の交渉を加速する。米中の橋渡し役を務めるような攻めの外交も必要だ。

 戦わずして有利なルールを獲得する選択肢はあり得ない。

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011111002000004.html


民主TPP結論 首相は参加へ強い決意を示せ11月10日 読売社説
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111110-OYT1T00059.htm?from=y10
 深夜に及んだ激しい論議を経て、民主党は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加問題について結論を出した。

 党の経済連携プロジェクトチームがまとめた提言は、野田首相が、週末にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、交渉への参加を表明することについて、「時期尚早」などの発言が多かったと指摘した。

 その上で、政府に対し、「慎重に判断することを提言する」と明記している。

 首相に最終判断を委ねた。首相は、慎重派の意向を尊重しつつも、やはり、ここは不退転の決意で参加を表明すべきだ。

 提言はまず、「高いレベルでの経済連携」を戦略的、多角的に進めるとし、日本が世界の貿易・投資の促進に主導的な役割を果たすべきだと記している。日米関係の重要性にも言及した。

 党内のTPP推進派の主張を踏まえたもので、極めて妥当である。アジアの新興国などの成長を取り込むことが、日本の成長戦略に欠かせない。

 一方で、提言はTPP参加での「懸念事項」に触れた。「国民への十分な情報提供を行い、同時に幅広い国民的議論を行うことが必要」と盛り込んでいる。

 最も懸念されているのが農業である。「例外なき関税撤廃」を掲げるTPPに参加すれば、大きな打撃が予想されると農業関係者は反発している。医療や金融分野などで規制緩和が進むことに伴う様々な不安も広がっている。

 政府はこうした懸念の払拭に努め、日本の主張が実現するよう各国と交渉すべきだ。

 党内の慎重派に目立つのは「情報が不十分で、参加決断は拙速だ」という主張だった。しかし、交渉に参加しなければ、詳細な内容は分からないではないか。

 慎重派も、提言で明確な反対を打ち出せなかった以上、首相の判断に従うべきだ。首相が参加を表明した場合、与党の一員として支えていかなければならない。

 今回は、民主党政権の政策調整の問題も浮き彫りになった。

 党幹部や閣僚らは、TPPに参加して、日本のどういう国益のために何をするのかという戦略を十分には示さず、党内説得の前面に立つこともなかった。

 選挙を意識したためか、個別業界の擁護を求める情緒的な声もあり、大局的観点からの発言は少なかった。政権党として視野の広い政策論議をしてもらいたい。
(2011年11月10日01時20分 読売新聞)




どうするTPP―交渉参加で日本を前へ 朝日新聞 社説 
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
2011年11月8日(火)


 米国や豪州、シンガポールなど9カ国による環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に、日本も加わるべきか、否か。

 9カ国は、12、13日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、大枠での合意と交渉継続を打ち出す見通しだ。

 野田首相はAPEC出席の前に交渉参加を打ち出す構えを見せるが、与野党から慎重論や反対論が噴き出している。

■戦略づくりを急げ

 TPPのテーマは幅広い。関税引き下げだけでなく、医療や郵政、金融、食の安全、環境など、さまざまな分野の規制緩和につながる可能性がある。農業をはじめ、関係する団体から反対が相次いでおり、首相の方針表明を食い止めようとする政界の動きにつながっている。

 改めて主張したい。まず交渉に参加すべきだ。そのうえで、この国の未来を切り開くため、交渉での具体的な戦略づくりを急がねばならない。

 資源に乏しい日本は戦後、一貫して自由貿易の恩恵を受けながら経済成長を果たしてきた。ただ急速に少子高齢化が進み、国内市場は停滞している。円高の追い打ちもある。貿易や投資の自由化を加速させ、国内の雇用につなげていくことが、ますます重要になっている。

 世界貿易機関(WTO)での自由化交渉が行き詰まるなか、アジア太平洋地域にはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現という共通目標がある。横浜で昨年開かれたAPECでは、FTAAPへの道筋の一つにTPPも位置づけられた。

 それに背を向けて、どういう戦略を描こうというのか。

 慎重・反対派は「なぜTPPなのか」と疑問を投げかける。関税撤廃が原則でハードルの高いTPPではなく、2国間の経済連携協定(EPA)を積み重ねていけばよいという主張だ。

 これまでの日本が、そうだった。すでに東南アジア各国などと10余りのEPAが発効している。だが、コメなどを対象外にする代わりに、相手国にも多くの例外を認めてきたため、自由化のメリットが薄い。

■EPA網へのテコに

 TPPでは、中小企業の自由貿易協定(FTA)活用促進や電子商取引など、WTOで取り上げてこなかった分野も含まれる。積極的にかかわってこそ、メリットが生まれる。

 「TPPには中国、韓国などの貿易大国が加わっておらず、意味がない」との指摘もある。

 しかし、TPPへの参加は中韓との交渉にも波及する。日中韓の3カ国が続けているEPAの共同研究について、中国は積極姿勢に転じた。当初の予定を大幅に繰り上げ、年末までに結論を出す。来年から交渉を始めることになりそうだ。

 米国が主導するTPPへと日本が動いたことで、中国がそれを牽制(けんせい)する狙いで方針転換したとの見方がもっぱらである。

 中断したままの日韓、日豪両EPAの交渉再開も急ぎたい。欧州連合(EU)とのEPAも事前協議から本交渉へと進めなければならない。「なぜTPPか」ではなく、TPPをてこに、自由化度の高いEPA網を広げていく戦略性が必要だ。

 「TPP参加で産業の一部や生活が壊される」との懸念に、どうこたえていくか。

 まずは農業である。特にコメへの対応が焦点だ。政府は、経営規模を現状の10倍程度に広げる方針を打ち出している。バラマキ色が強い戸別所得補償制度の見直しをはじめ、TPP問題がなくとも取り組むべき課題である。

■消費者の利益が原点

 規制緩和の問題はどうか。

 TPP交渉で取り上げられている分野は、米国が日本に繰り返し要求してきた項目と重なる。「市場主義」を掲げて規制緩和を進めた小泉内閣時代に検討された内容も少なくない。

 折しも世界各地で「反市場主義」「反グローバリズム」のうねりが広がる。格差拡大への懸念が「米国の言いなりになるのか」という主張と結びつき、TPP反対論を後押ししている。

 ここは冷静になって、「何が消費者の利益になるか」という原点に立ち返ろう。安全・安心な生活を守るため、必要な規制を維持するのは当然だ。TPP反対派の主張に、業界の利益を守る思惑がないか。真に必要な規制を見極め、米国などの要求にしっかり向き合いたい。

 TPP交渉では国益と国益がぶつかり合っている。「例外なき関税撤廃」の原則も、実情は異なる。米国は豪州とのFTAで砂糖を対象から除いており、この特例をTPPでも維持しようとしているのが一例だ。日本も、激変緩和のための例外措置を確保できる余地はある。

 もちろん、難交渉になるのは間違いない。しかし、参加しない限り、新たなルールに日本の主張を反映できない。TPPに主体的にかかわることが、日本を前へ進める道だ。

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ここ最近のTPP関連の社説


経済成長へTPP交渉参加を決断せよ

2011/11/3付 日経社説・春秋

http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E4E0E2EAE7E1E2E2E1E3E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D

 人口減少と高齢化が進み、東日本大震災で深く傷ついた日本は、どうすれば国の活力を維持できるか。国内だけの力では、これまで通りの経済成長は果たせない。

 国を開き、海外の市場とのつながりを太くし、世界の元気な国々と連携して生きる道を進まなければならない。その強力な枠組みになると考えられるのが、環太平洋経済連携協定(TPP)だ。

 野田佳彦首相は、今こそ交渉参加を決断すべきだ。機は熟した。アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が目前に迫っている。これからの日本の進路を世界に打ち出す大舞台である。

 日本の上場企業の2012年3月期の連結経常利益は、前期比で2ケタの減益となる見通しだ。大震災や円高の打撃で、日本経済の担い手である企業が急速に弱っている。このままでは雇用や個人消費への影響が避けられない。

 成長の道筋を描かなければ、日本経済は先細りになってしまう。最大の経済大国である米国、そして伸び盛りのアジア各国と貿易や投資を拡大するTPPこそ、日本の成長戦略の柱になるはずだ。

 国を開くことは、国内の改革と表裏の関係にある。国民が安心して暮らすために、食を支える国内農業の再生を急がなくてはならない。金融や通信、医療などのサービス分野は、生産性を高めて成長産業として育てる必要がある。

 いずれも規制改革を進め、非効率な制度や慣習を変えていくべき分野だ。TPPは関税撤廃だけではなく、貿易や投資に関連したさまざまな共通ルールづくりを目指している。交渉をテコに、国内の改革を進めるべきだ。

 それは痛みを伴う道でもある。だが、日本が経済成長を目指す以上、避けられない一時的な痛みである。開国に伴う急激な変化を心配する声は当然だろう。だからこそ、日本の未来に責任を負う野田首相が、大局的な見地に立って自ら決断を下すしかない。

 現在の交渉国の政権は、それぞれ覚悟をもって、高度な自由化に挑んでいる。痛みから逃げるのではなく、痛みを緩和する措置に知恵を絞りながら、成長のために国内改革を推し進める覚悟だ。

 参加する前から、交渉離脱も考えるような中途半端な態度では、日本の未来はつかみ取れない。交渉の一員となり、日本から米国などに、どんどん注文をつけていく攻めの姿勢に転じる時である。









国会代表質問 生煮え論議から抜け出せ
2011年11月2日 10:41 カテゴリー:コラム > 社説
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/271434
 政治が決断しなければならない重大な問題は山積しているにもかかわらず、危機に立ち向かう野田佳彦首相の決意や覚悟はストレートに国民へ響いてこない。

 首相や民主党政権の姿勢を問う野党の追及も、いまひとつ迫力を欠く。

 そんな隔靴掻痒(そうよう)の感を拭えない。

 野田首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が臨時国会で始まった。きょうまで3日間の日程である。

 この国会の重要性は、あらためて指摘するまでもあるまい。まずは東日本大震災からの本格的な復興を目指す本年度第3次補正予算案とその関連法案を、早急に成立させねばならない。

 福島第1原発事故の収束に向けた取り組みや放射性物質で汚染された地域の徹底的な除染も急を要する。世界的な金融・経済危機の中で、円高対策と産業空洞化を防ぐ対応も待ったなしである。

 さらに、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題や、消費税率の引き上げを伴う社会保障と税の一体改革など、国民的な論議を踏まえて合意形成を図るべきテーマは次々に待ち構えている。

 臨時増税で財源を賄う被災地の復興はもとより、この国の将来像や私たち国民の暮らしを左右しかねない論議の材料には事欠かないはずなのに、肝心の国会論戦が盛り上がりを欠くのはなぜか。

 なるべく事を荒立てないことを旨とするかのような首相の基本姿勢が挙げられよう。「首相として何をしたいのか」「首相の顔が見えない」。そんな質問が与野党から相次いだ。

 きのうの参院本会議で首相は「大風呂敷はいくらでも広げられるが、足元を見ないで遠くを語ることは間違いだ」と珍しく反論した。ねじれ国会を乗り切るため野党の協力が必要な事情は分かる。震災復興など「足元」の切実な政治課題を優先するのも現実的な判断であろう。

 しかし、提出した政府法案についてはひたすら野党の「理解と協力」を求める一方、TPPや消費税など賛否が渦巻く問題になると「引き続き議論をして結論を出す」「鋭意検討していく」など官僚的な答弁を繰り返す。これでは一国のリーダーとして物足りない。悠長に「遠くを語る」ような問題でもあるまい。

 野党第1党の自民党も、安全運転に徹する首相をなぜか攻めあぐねている。

 一昨日の衆院本会議で、谷垣禎一総裁は民主党政権の「マニフェスト(政権公約)違反」を追及し、「総理たらい回しの政権に正統性はない」として衆院の解散・総選挙を求めた。

 震災復興の3次補正までは野田政権に協力するが、そこから先は対決姿勢を強めて早期解散に追い込む-。そんな構えのようだが、TPPの問題でも賛否が分かれているように、政策論で真っ向勝負する態勢は自民党も整っていない。

 深刻な危機の克服へ政治の力を結集するにはどうすべきか。与野党とも「生煮え」の論議から抜け出すべきだ。


=2011/11/02付 西日本新聞朝刊=

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ここ最近のTPP社説集

TPP参加を促すものばかり



中日新聞 TPP参加すべきだ 課題は協議で主張

2011年11月1日

◆知事会見詳報

 関税を原則廃止する環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加に関し、大村秀章知事は31日の定例会見で、「日本は産業、貿易立国で、やはり自由貿易が必要。TPP協議には積極的に参加すべきだという立場だ」との見解を示した。この日、県農協(JA愛知)中央会の倉内巌会長が知事に慎重な対応を求める要請をしたことへの記者の質問に答えた。TPP参加で衰退が懸念される農業分野には「コメを含め日本に必要な守るべきものは協議で主張していけばいい」と話した。詳細は次の通り。 (島崎諭生)

 -TPP参加への所感は。

 農協の立場は理解するが、日本は一国では生きていけない。農業や医療など解決しなければならない課題は協議の場で堂々と主張し、まとめていくことが日本の果たすべき役割だと思う。

 -1ドル=75円台の超円高が基調となっているが、県の新たな対策は。

 経済、産業、雇用を守るため、必要な施策を果断にやっていきたい。企業や雇用を集積させていく取り組みをしっかりやる。新年度当初予算でも念頭に置いて政策作りをやっていく。国の第三次補正予算で活用できるものは、しっかり活用していきたい。

 -本年度上半期の公共事業の施行状況は。

 東日本大震災を受けて4月に、公共事業の契約を可能な限り前倒しすると決めた。上半期の契約目標率は85%としたが、結果は契約額1317億円、率で81・6%となった。落札額が低くなったために契約額が下がった事情があり、執行残を含めた契約率は85・4%になる。引き続き6月と9月の補正予算分も含め、できるだけ早期の発注に取り組む。

 -中小企業の支援策追加は。

 あいち産業振興機構が運営する「あいち中小企業応援ファンド」に、来年度から特別枠として「モノづくり応援ファンド」と「農商工連携応援ファンド」を設け、助成対象を拡大する。従来は地域産業資源を活用することを条件にしていた。助成限度額も200万円加算し、500万円にする予定だ。来年1月中旬に公募を開始する。

http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20111101/CK2011110102000104.html




日経 社説 自民党の責任も問われる

2011/11/1付

http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E4E2EBE2E7E0E2E2E3E3E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D

 野田佳彦首相の所信表明演説への各党代表質問が始まった。首相は安全運転の答弁に徹し、議論は深まらなかったが、野党第1党の自民党の姿勢にも問題がある。

 自民党の谷垣禎一総裁は環太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加問題で「政府が情報提供しないため、参加の可否を判断するための国民的議論が全く熟していない」などと批判した。農業対策に十分な予算が確保できるのかという点にも懸念を表明した。

 しかし自民党の立場を明確にせず、政府を批判するだけでは、無責任である。谷垣氏は自由貿易の重要性を訴え、外交交渉の必要性も強調した。それなら、TPP交渉への参加を認める方向で党内をまとめ、農業対策などで建設的な政策提言をすべきではないか。

 社会保障と税の一体改革に関しても、谷垣氏は2010年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げる法案を今年度中に提出するという政府方針について、民主党のマニフェスト(政権公約)との整合性などを批判するにとどまり、中身の議論に踏み込まなかった。

 消費税増税の基本認識で政府と自民党に大きな違いはないはずだ。入り口論の批判で協議を拒むのではなく、早く与野党協議を始めて、議論をリードするぐらいの意気込みを示してもらいたい。その方が自民党の信頼回復につながるだろう。

 首相の答弁も物足りない。もっと自分の考えを示し、説得する姿勢が必要だ。焦点のTPP交渉参加問題でも(1)アジア太平洋地域の成長力を取り込めるなどのメリットがある(2)農業再生との両立をはかることなどの課題もある――と繰り返すだけだった。

 首相は自らの資金管理団体に、過去に2人の外国人から約47万円の献金があったことを認めた。外国人からの献金は法律で禁止されているが「外国籍であるとは知らなかった」として、陳謝した。「政治とカネ」の問題でいたずらに国会が混乱しないように、首相らが襟をただすよう求めたい。



代表質問 TPP参加へ結論を出す時だ(11月1日付・読売社説)

 与野党は、それぞれ党内に反対派を抱えた重要課題に果敢に挑み、結論を出す時である。

 衆院本会議で代表質問が始まった。

 最大の焦点である環太平洋経済連携協定(TPP)参加問題について、野田首相は、高いレベルの経済連携の実現と、国益に合致する交渉の必要性を述べるにとどめ、参加を明確にしなかった。

 民主党内のTPP反対派が農業団体や野党の一部とも連携して激しく反発しているからだろう。

 だが、前原政調会長が「不満を持つ人に配慮すれば政策は前に進まず、与党の責任を果たせない」と述べたように、民主党は意思決定を迫られている。前原氏も党の政策責任者として、意見集約に指導力を発揮してもらいたい。

 自民党の谷垣総裁は、藤村官房長官らが「TPPの交渉途中でも離脱可能だ」と発言していることを問題視した。「入り口から逃げ腰の国」では、他の参加予定国から相手にされないと指摘した。

 もっともである。野田首相は不退転の決意で交渉参加を表明し、国益につながるルール作りに努めなければならない。

 TPP参加で大きな影響を受ける農業の強化策を、政府が怠っているのは問題だ。

 ばらまき色の強い戸別所得補償制度を改め、農地の規模拡大を図るなど、TPP参加に備えた政策へ切り替えることが肝心だ。

 谷垣氏はTPPをめぐる民主党政権の対応を批判するだけで、自民党として参加の賛否は示さなかった。反対論が強いからだ。2年前まで政権を担っていた党としては無責任に過ぎよう。

 谷垣氏はまた、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革について、複数税率など逆進性対策や社会保障機能強化の進め方などの議論が民主党に欠け、「前途は多難だ」と述べた。

 だが、そうであればこそ、民主、自民、公明3党で協議すべきである。社会保障制度改革の実現には、自民党が政権に復帰しても民主党の協力が欠かせない。

 野田政権は来年の通常国会で、消費税率引き上げ準備の関連法案成立を目指すという。大幅な税制改正を伴う復興財源問題とともに今国会から検討すべきだ。

 TPP参加にしても、消費税率引き上げに関連する諸課題にしても、自民党は、野田政権を攻撃するだけではなく、党としての見解を明らかにする必要がある。野党時代の民主党に対しては、そう要求していたではないか。
(2011年11月1日01時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111031-OYT1T01353.htm


【社説】
「プラスサム」の世界に 週のはじめに考える

2011年10月30日


 環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加をめぐる議論が熱を帯びています。さまざまな反対論が出ていますが、自由貿易の原点に立ち返ってみたい。

 まず反対論から紹介します。

 民主党内の論議では「TPPで輸出が増えることはありえない」とか「米国から国内制度の改変を迫られる」といった意見が出ました。「いったん参加してしまえば撤退できない」とも。

 鳩山由紀夫元首相は最近、野田佳彦首相との会合で「何でも米国のいいなりになってはいけない」と忠告したそうです。
誤解には丁寧な説明を

 こうした反対論には誤解に基づく部分もあります。

 たとえば医療制度。TPPに加われば、保険内と保険外を組み合わせた混合診療の解禁につながって、結果として公的医療が崩壊するという懸念の声がありました。しかし、そもそもTPP交渉で混合診療は議題に上っていません。

 「単純労働者が増える」という話も同じで、議論しているのは商用目的のビジネスマンに対する滞在条件をどう緩和するか、といった問題です。

 いまは交渉に参加していないだけに「日本の仕組みを根本的に変える、とんでもない話をしているのではないか」という疑念が膨らんでいるようです。

 政府は交渉参加を表明するなら、丁寧な説明が必要です。

 ただ、もう少し根の深い問題もある。その一つが鳩山元首相も言った「米国のいいなり論」でしょう。これは「TPPは市場万能主義の権化」「米国の策略」といった主張にもつながっています。

 基本的な構えとして、国益にプラスでないなら参加すべきではない。逆に米国の要求がどうあれ、日本が自分で考えてプラスなら積極的に踏み出すべきなのです。
外交とは違う貿易交渉

 この議論は外交防衛と貿易通商の根本的な相違点に触れている面があります。まず外交防衛は非常にしばしば「相手のプラスが自分のマイナスになる」関係にある。たとえば領土問題で自分が領土権を譲れば、直ちに相手の領土拡張になってしまう。これを「ゼロサム(足してゼロになる)ゲーム」といいます。

 この理解を単純に貿易通商にあてはめると「日本が譲れば米国の得点になって、あっちが得するだけじゃないか」という話になります。しかし、そうではない。

 自由貿易は自分も相手も損をせず、やがて双方がプラスになる関係です。貿易通商はゼロサムではなく「プラスサム(足してプラスになる)ゲーム」なのです。

 たとえば双方が関税をゼロにすれば、互いに得意とする物品を交換するようになる。その結果、双方が国内にある資源をより効率的に使って生産や消費を伸ばせるようになる。これは「比較優位」といって、国際経済学のもっとも基本的な定理でもあります。

 ゼロサムの外交では互いが譲らず、最終的に戦争になる場合もある。ところが通商交渉は難航しても「もう自由化はやめだ」という話にならないのは結局、双方が得すると分かっているからです。

 日本がこれまで世界貿易機関(WTO)の多角的交渉やシンガポールなどとの自由貿易協定(FTA)に取り組んできたのも、とりわけ資源がない国に自由貿易が国益に沿うからでした。他国に強制されたからではありません。

 さらに言えば「TPPは米国の対中国包囲網の一環」という話も聞かれます。外交防衛でいう「米国勢力圏」とか「中国勢力圏」といった話に広がりそうですが、これもおかしい。

 米国も中国もアジア太平洋経済協力会議(APEC)の加盟国であり、将来はアジア太平洋の国と地域が集まって壮大なアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)をつくる構想で一致しています。つまり米国も中国も同じ自由貿易圏のゴールを目指しているのです。

 TPPが掲げているのは「例外なき自由化を十年間で達成する」という野心的な目標です。しかし、米国でさえ「乳製品や砂糖を例外扱いにすべきだ」と主張している。どんな交渉にも本音と建前がある。旗を高く掲げていたとしても、話が煮詰まってくれば「例外をどうするか」が最大のテーマになるでしょう。

 いまが交渉の最終局面でもありません。「少なくとも、あと五回は交渉をしないと着地点が見えてこない」といわれています。
現状維持は衰退への道

 「もう日本はこれ以上、自由化しないのだ」という道もあります。しかし、現状維持は衰退への道です。なぜなら他国が自由化した分だけ日本が相対的に不利になるからです。他国同様、日本が痛みを伴っても次の一歩を踏み出せるかどうかが問われています。
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2011103002000010.html




社説:TPP反対論 米国陰謀説は的外れ

 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に対する議論が熱をおびてきた。このなかで、根拠に乏しく必要以上に不安をかきたてる反対論を少なからず見聞する。
それには懸念を表明せざるをえない。

 「TPPによって日本は一方的な被害国になる」「米国の陰謀だ」と主張する人が多い。
しかし、主権国家が日本を含めれば10カ国集まり、相互の複雑な利害を調整する場である。
日本だけが一方的に不利益をこうむるはずがない。

 そもそも米国はTPPに日本が参加することを想定していなかった。
菅直人首相(当時)が成長戦略の一環として、自らの発案で参加したいと言ったのだ。米国は日本に参加要請していない。

 米国はアジア市場で米国抜きの自由貿易圏が形成されるのをおそれ、TPPによってアジア関与を強めようとしている。
数カ国で開放度の非常に高い自由貿易圏を作り、それを広げ、最終的には中国も含めたアジア太平洋経済協力会議(APEC)諸国全体を包み込む狙いだ。

 その過程で、日本の参加は歓迎に違いない。
しかし、包括経済協議で数値目標を迫った頃とは違い「日本たたき」する経済的、政治的メリットはもうない。
米国のビジネス界、政界は停滞する日本への関心を失っているのが実情だ。

 交渉分野は24もあり、最近の反対論は農業以外に懸念を広げている。

 混合診療解禁、株式会社の病院経営などを要求され、
日本の医療制度が崩壊するという論もある。だが、公的医療制度が通商交渉のテーマになった例はなくTPPだけ違う交渉になることは考えられない。

 TPPでは投資家が投資先の政策で被害を受けた場合、その国を訴えることができるという制度(ISDS)が議論される。
それを「治外法権」などと攻撃する声がある。

 だが、今後、日本企業はどんどん途上国への展開を加速する。してみれば、外資系企業に対し差別的扱いがあった場合、
企業側に対抗手段があることは、全体として日本にメリットが多いと考えるべきだろう。

 また、遺伝子組み換え食品について米国で安全と認定された食品は、食品表示に遺伝子組み換え食品であることを表示する必要はない、
というのが米国の態度だ。これを押しつけられるのではないかという懸念があるが、豪州もニュージーランドも米国に反対であり、
米国の主張が通ることは考えられない。

 政府の態度表明までに残された時間は少ないが、国民にはまだあまたの懸念がある。不利な情報が仮にあったとしても、
隠さず丁寧に説明していくことが理解を得る早道だ。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20111031ddm004070013000c.html




農業再生計画 TPP参加を前提に改革急げ(10月26日付・読売社説)

 政府の「食と農林漁業の再生推進本部」が、農業改革の基本方針と行動計画を決定した。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加をにらみ、農家の耕作面積拡大や新規就農促進などを打ち出した。

 方向性は妥当だが、具体性に欠け、力不足だ。農業再生とTPP論議を切り離したい農業団体などへの配慮があったのだろう。

 しかし、日本農業の地盤沈下を考えれば、これ以上、改革を先送りすることは許されない。

 野田首相は指導力を発揮し、貿易自由化に負けない強い農業を実現する計画を示すべきだ。併せて、TPP参加への決断を急がなければならない。

 行動計画は、今後5年間に取り組む課題として、農地面積を20~30ヘクタールへ拡大する目標を示した。生産、加工、販売を一体的に手がける農業の「6次産業化」の実現や資金面から後押しする官民ファンド創設にも言及している。

 だが、掛け声だけで実現できるほど甘くはない。本格的な規模拡大には、農地法改正などが必要だ。民間の知恵と資金を生かすのであれば、企業の農業進出を容易にする方策が欠かせないだろう。

 現在の農政は、高関税や国内の生産調整によって農産物価格を高く維持し、消費者が高い商品を買うことで間接的に農業を支える仕組みとなっている。

 早急に取り組むべき重要課題の一つに「消費者負担」から「納税者負担」への移行を挙げたのは、農政転換策として理解できる。

 納税者負担は、関税引き下げや生産調整の廃止で農産物が値下がりした場合、下落分を補助金で農家に直接、補償する政策だ。欧州や韓国などで導入され、市場開放とセットになっている。

 国民の食を支える農業を税金で一定程度、支援することに異論はなかろう。ただ、財政難で予算を大盤振る舞いできる余裕はない。規模を抑えることが必要だ。

 民主党政権が導入した農家の戸別所得補償制度も納税者負担方式だが、関税引き下げとは切り離されている。零細農家も対象とするなど、ばらまき色も強い。現行制度は抜本的に見直し、意欲的な農家に支援を絞るべきである。

 コメ部分開放を決めたウルグアイ・ラウンド合意では、6兆円の対策費を投じながら、農業の活性化につながったとは言い難い。

 腰砕けに終わった過去の農業改革の二の舞いを避けるには、農業の既得権に切り込む構造改革を徹底することが重要だ。
(2011年10月26日01時23分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111025-OYT1T01254.htm




TPP 首相は参加決断の時だ 根拠なき不安の払拭に全力を
2011.10.26 03:00 [主張]

 野田佳彦首相には今こそ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を決断し、明言してもらいたい。

 参加への反対論や慎重論は激しさを増している。それだけに、首相が自ら最前線に立って参加の意義とメリットを語り、疑問や不安を払拭しなければ、混迷は深まるばかりだ。

 貿易立国として繁栄していくことが日本の通商政策の根幹であり、国家ビジョンそのものでもある。TPP参加に、より多くの国民の理解を得ることが最高指導者としての責務である。

 問われているのは首相の覚悟である。首相は25日の「食と農林漁業の再生推進本部」で、「高いレベルの経済連携と農林漁業再生の両立を図るため、政府を挙げて全力で取り組んでいかなければならない」と語った。

 20日には「完全にルールが決まって入っていくと、むしろハードルが高い可能性がある」と述べている。「結論はまだ決まっていない」といった以前の発言より交渉参加に前向きな姿勢を示しているが、腰はまだ定まっていない。11月12、13日に米ハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、米国などはTPPの大枠合意を目指す。日本に残された時間は少ない。

 ◆日米同盟が強化される

 多くの関連業界の中でも全国農業協同組合中央会(JA全中)の反発は激しい。「参加すれば日本農業は壊滅する」と、交渉参加反対を訴える「請願書」を衆参両院の国会議員356人を通じて提出した。民主党内でも「TPPを慎重に考える会」への賛同者が200人に上っている。

 こうした反対論に政府・与党は揺れている。前原誠司政調会長が慎重派への配慮から「交渉参加後の離脱もあり得る」と発言した。中途半端な姿勢では、混乱が増すばかりだ。

 TPP参加はアジア・太平洋地域の成長を取り込み、日本企業の国際競争力強化に役立つ。さらに日米同盟を強化する意味合いもある。レアアース(希土類)の輸出制限など国際ルールを無視し、独善的な行動が目立つ中国に対する牽制(けんせい)にもつながるからだ。中国が陰に陽に日本のTPP不参加を働きかけている意図がどこにあるかを考えるべきだ。

 一方、参加しなければ、米国などへの輸出が関税の分だけ不利になる。製造業が生産拠点をTPP参加国に移せば、超円高で加速する産業の空洞化に拍車がかかり、雇用が失われる懸念がある。

 デメリットは米国と自由貿易協定(FTA)を締結した韓国と比べれば明らかだ。韓国の自動車は5年後に関税ゼロで米国に輸出できるようになるが、日本車はトラックだと25%の関税がかかったままだ。韓国は米韓FTAをアピールし、日本の自動車メーカーに韓国立地を呼びかけている。

 ◆自民党のぶれも問題だ

 関税以外にも農業や医療、食の安全、労働など幅広い分野がTPPの対象になる。反対派が業界や国民の間に広げている根拠のない不安をなくすべきだ。

 医療分野に関し、医師会などは保険診療と自由診療を併用する混合診療の解禁で「国民皆保険制度が崩壊しかねない」と主張するが、現交渉では混合診療や公的医療保険制度は議論の対象外だ。

 遺伝子組み換え食品や食品添加物などの安全基準に消費者団体が懸念を示している点は、国内基準の優先を世界貿易機関(WTO)ルールが認めている。「雇用が奪われる」と恐れる労働問題では、単純労働者の流入はもちろん、医師や弁護士などの専門家も含め日本が主体的に規制できる。

 金融、電気通信など、TPP内のルールが国際標準になりそうな分野もある。日本抜きでルールが決まる不利な状況を避けるためにも、早くルール作りに加わって国益を守った方が得策だ。

 JA全中は与野党各党に反対を強く働きかけているが、選挙支援が絡んで地方選出の国会議員は農業団体に弱い。

 自民党の谷垣禎一総裁は「協議しながら国益に適(かな)うかを判断すべきだ」と交渉参加に前向きだったが、異論が出ると「慌てて入っていくのは外交的失敗だ」と軌道修正した。重要政策を国益を最優先する立場からなぜ決めようとしないのか。民主、自民両党に問われているのはこのことだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111026/plc11102603010000-n1.htm


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