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TPP参加は残忍な日米FTAの始まり

記事下に出る広告は忍者ブログの仕様でブログ主は関与していません。背景画像はアメリカ国内で行われたTPP反対行進写真です。(TPPとは「自動車」「郵政」「農業」「医薬品・医療機器」などが含まれる「投資」「金融」「通信」「工業」などをはじめとする24もの部会がある原則関税撤廃というルールと交渉内容は非公開の合意のある、初めはニュージーランドなどの小さな国がやっていた貿易協定でしたが2008年から事実上米国が乗っ取って主導権を握り、参加国と米国だけは保護主義で、一方的に自由化を求める米国との過酷なFTA状態になっているものです。)

   

移転しました。


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日本の医療をグローバルスタンダードに引きずり落とすな TPP参加で確実に生じる医療格差



JBpress


日本の医療をグローバルスタンダードに引きずり落とすな TPP参加で確実に生じる医療格差より転載

2011.11.01(火)
多田 智裕


11月12日から開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が近づいてきました。野田佳彦総理はこの場において、TPP(環太平洋経済連携協定)参加に「大枠合意」の表明をすると見られています。

 TPPへの参加を巡っては、貿易自由化を推進すべきだという意見、農業を保護するために参加すべきではないとする意見など、様々な立場から賛否両論の声が挙がっています。以下では、医療に携わる立場から、なぜTPPに参加すべきではないのかを改めて述べてみたいと思います。
金持ちでなければ医療を受けられないのがグローバルスタンダード

 TPPは、韓国が米国と結んだFTA(自由貿易協定)と比較されることが多く、一般には「加盟国間で取引される全品目について関税を撤廃すること」と理解されているようです。

 しかし、TPPは貿易協定であるFTAとは異なり、「2015年度までに農作物、工業製品、サービスなどすべての商品について、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃する」ことが目標とされています。

 サービスには、金融や医療も含まれますし、その他の貿易障壁には食料安全基準に加えて、法律などの制度も含まれます。ですから、TPPの問題の本質は関税ではありません。

 金融・医療・食料・法律を含めた、現在日本に存在するありとあらゆる規制を他国(主として米国)に準じて「現在のグローバルスタンダードである市場原理に任せるのか否か」が問われているのです。

 医療に関して言うと、良質の最新医療を受けるならば、多くの家庭では借金しないと支払えないくらいの大金が必要になります。それが、市場原理が支配するグローバルスタンダードに合わせるということです。

 日本の健康保険制度のもとでは、報酬が点数によってあらかじめ決まっているため、医療機関はたいした利益が上がらないような仕組みになっています。この制度が功を奏して、日本はこれまで「国民皆保険制度」で、世界一安くて質の高い医療をすべての人に平等に行ってきました。

その医療制度が、TPPへの参加によって崩壊するのです。

 大金持ちしか満足な医療を受けることができず、中間層以下の人たちは十分な治療を受けられず、命を落としてしまうかもしれない。そんな医療格差を本当につくってしまってよいのでしょうか。
二重の規制が日本国民の健康を守っている

 日本の医療には、他国と比べて決定的に違う規制が2つあります。

 1つ目は、国民皆保険が存在するため、すべての国民が公的保険による医療を受けることができるという点です。

 2つ目は、市場をほぼ100%独占する国民皆保険の価格を決める全国一律の保険点数により、医療費の水準自体を国家が抑え込んでいる(過去10年で言うとマイナス改訂)ということです。

 他国では存在しないこの二重の規制は、50年以上にわたりあまりにも長く、日本では日常的に運営されてきました。そのため、「空気」と同じようになってしまっていて、その恩恵の大きさを認識できていない人たちがほとんどだと思われます。

 でも、この日本特有の「統制経済」である国民皆保険により、医療費が払えなくて破産したり、医療費が払えないために十分な医療が受けられないまま命を落としたりする事態は、日本においてはほぼ皆無なのです。

 そもそも、医療における規制は、医療を受ける人を守るために存在しています。その根本を無視して、「医療界は規制で『保護』されている」と議論されているのを見るのは、医療従事者として悲しい限りです。
「現時点では交渉対象ではない」は詭弁である

 政府はTPP参加を巡る議論の中で、医療について「現時点では営利企業の参入や混合診療解禁は議論の対象外である」と説明しています。これでは多くの人が、「なんだ、今まで通り日本の国民皆保険は守られるじゃないか」と考えてしまうでしょう。

 しかし、TPP参加国の中で、国民皆保険で株式会社の医療への参入を阻害し、混合診療を禁止して、医療価格を全国一律の保険点数で統制し抑え込んでいる国は、日本以外にはありません。

 日本がまだ参加していない時点では、「交渉対象にすらなっていない」のは当たり前なのです。

 さらには、TPPを巡る交渉の場では、参加国すべてが合意しなければならないのです。他の国とは全く異なる医療制度を持つ日本が、TPP参加表明をするということは、「医療についても現在参加している国々に合わせて変化させることを表明した」のとほぼ同義であると、私は思います。

 政府の「現時点では交渉対象ではない」というコメントは、とんでもない詭弁なのではないでしょうか。
価格統制がなくなると医療費はとめどなく上昇していく

 「すべての規制をなくす」という自由市場主義のもとでは、国民皆保険も、医療の全国一律の点数制度も、営利企業が医療サービスで利益を上げる際の「障害」に他なりません。よって、TPP参加は、国民皆保険制度を崩壊に至らしめることになるでしょう。

 加えて、みなさんに知っておいていただきたいのは、「自由な市場に委ねれば競争原理が働いて価格が下がる」ことは、医療では起こり得ないという事実です。

 医療は高度な専門性に立脚しており、情報面において患者は圧倒的に不利なため、価格メカニズムが十分に働かないからです。

 世界一高い米国の医療費が証明しているように、医療費は国家の価格統制なしには、とめどなく高騰していくのです。

 日本が世界に誇るべき医療制度(国民皆保険と保険点数による「全国統一の規制価格」)は、持続できるかどうかの瀬戸際に立たされていると言っても過言ではありません。

 今後の交渉次第とはいえ、政府から日本の「国民皆保険」を守るビジョンが示されることなく、必要な予算措置もなされないのであれば、行く末は見えています。

 TPP参加により国民皆保険は崩壊、医療費は高騰し、医療を受けられない人たちが続出するでしょう。それがグローバルスタンダードに合わせるということなのです。

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米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか「TPP亡国論」著者が最後の警告!

ダイアモンドオンライン:エディターズ・チョイスより転載

米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか「TPP亡国論」著者が最後の警告!

【第28回】 2011年10月24日
著者・コラム紹介バックナンバー
中野剛志 [京都大学大学院工学研究科准教授]

TPP交渉に参加するのか否か、11月上旬に開催されるAPECまでに結論が出される。国民には協定に関する充分な情報ももたらされないまま、政府は交渉のテーブルにつこうとしている模様だ。しかし、先に合意した米韓FTAをよく分析すべきである。TPPと米韓FTAは前提や条件が似通っており、韓国が飲んだ不利益をみればTPPで被るであろう日本のデメリットは明らかだ。

TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加についての結論が、11月上旬までに出される。大詰めの状況にありながら、TPPに関する情報は不足している。政府はこの点を認めつつも、本音では議論も説明もするつもりなどなさそうだ。 

 しかし、TPPの正体を知る上で格好の分析対象がある。TPP推進論者が羨望する米韓FTA(自由貿易協定)である。

米韓FTAが参考になるのは
TPPが実質的には日米FTAだから




 なぜ比較対象にふさわしいのか? 

 まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。
 そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。
 だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。 
 では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。


韓国は無意味な関税撤廃の代償に
環境基準など米国製品への適用緩和を飲まされた




 まず、韓国は、何を得たか。もちろん、米国での関税の撤廃である。

 しかし、韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に充分低い。例えば、自動車はわずか2.5%、テレビは5%程度しかないのだ。しかも、この米国の2.5%の自動車関税の撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付いている。

 そもそも韓国は、自動車も電気電子製品も既に、米国における現地生産を進めているから、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係がない。これは、言うまでもなく日本も同じである。グローバル化によって海外生産が進んだ現在、製造業の競争力は、関税ではなく通貨の価値で決まるのだ。すなわち、韓国企業の競争力は、昨今のウォン安のおかげであり、日本の輸出企業の不振は円高のせいだ。もはや関税は、問題ではない。

 さて、韓国は、この無意味な関税撤廃の代償として、自国の自動車市場に米国企業が参入しやすいように、制度を変更することを迫られた。米国の自動車業界が、米韓FTAによる関税撤廃を飲む見返りを米国政府に要求したからだ。

 その結果、韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに、韓国に輸入される米国産自動車に対して課せられる排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証などについて、一定の義務を免除することになった。つまり、自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。また、米国の自動車メーカーが競争力をもつ大型車の税負担をより軽減することにもなった。

 米国通商代表部は、日本にも、自動車市場の参入障壁の撤廃を求めている。エコカー減税など、米国産自動車が苦手な環境対策のことだ。


コメの自由化は一時的に逃れても
今後こじ開けられる可能性大



 農産品についてはどうか。

 韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外は実質的に全て自由化することになった。海外生産を進めている製造業にとって関税は無意味だが、農業を保護するためには依然として重要だ。従って、製造業を守りたい米国と、農業を守りたい韓国が、お互いに関税を撤廃したら、結果は韓国に不利になるだけに終わる。これは、日本も同じである。

 しかも、唯一自由化を逃れたコメについては、米国最大のコメの産地であるアーカンソー州選出のクロフォード議員が不満を表明している。カーク通商代表も、今後、韓国のコメ市場をこじ開ける努力をし、また今後の通商交渉では例外品目は設けないと応えている。つまり、TPP交渉では、コメも例外にはならないということだ。

 このほか、韓国は法務・会計・税務サービスについて、米国人が韓国で事務所を開設しやすいような制度に変えさせられた。知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。医薬品については、米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。

 農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、米国の要求通り、協定の発効後、3年以内に一般の民間保険と同じ扱いになることが決まった。そもそも、共済というものは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出し合うことで、何かあったときにその資金の中から保障を行う相互扶助事業である。それが解体させられ、助け合いのための資金が米国の保険会社に吸収される道を開いてしまったのだ。

 米国は、日本の簡易保険と共済に対しても、同じ要求を既に突きつけて来ている。日本の保険市場は米国の次に大きいのだから、米国は韓国以上に日本の保険市場を欲しがっているのだ。

米韓FTAに忍ばされた
ラチェット規定やISD条項の怖さ



 さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。

 その一つが、「ラチェット規定」だ。

 ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。
 締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。

 加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた。

 もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。
 このISDとは、ある国家が自国の公共も利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。

 しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。

 ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。

 また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。

このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。
 たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。

 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。

 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。

 要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。

ISD条項は毒まんじゅうと知らず
進んで入れようとする日本政府の愚



 米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。
 ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)。

 その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。

 それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。

 政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。 それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。

野田首相は韓国大統領さながらに
米国から歓迎されれば満足なのか



 米韓FTAについて、オバマ大統領は一般教書演説で「米国の雇用は7万人増える」と凱歌をあげた。米国の雇用が7万人増えたということは、要するに、韓国の雇用を7万人奪ったということだ。
 他方、前大統領政策企画秘書官のチョン・テイン氏は「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」と嘆いている。このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。

 オバマ大統領は、李明博韓国大統領を国賓として招き、盛大に歓迎してみせた。TPP推進論者はこれを羨ましがり、日本もTPPに参加して日米関係を改善すべきだと煽っている。

 しかし、これだけ自国の国益を米国に差し出したのだから、韓国大統領が米国に歓迎されるのも当然である。日本もTPPに参加したら、野田首相もアメリカから国賓扱いでもてなされることだろう。そして政府やマス・メディアは、「日米関係が改善した」と喜ぶのだ。だが、この度し難い愚かさの代償は、とてつもなく大きい。

 それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。11月のAPECを目前に、方針転換するどころか、議論をする気もないし、国民に説明する気すらない。国というものは、こうやって衰退していくのだ。

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TPP参加は農家だけでなく日本国民すべてに被害を及ぼす自由貿易原理主義は危険だ

TPP参加は農家だけでなく日本国民すべてに被害を及ぼす自由貿易原理主義は危険だ
月刊 現代農業より転載 http://www.ruralnet.or.jp/gn/201103/tpp.htm
中野剛志
なかの たけし
1971年神奈川県生まれ。1996年通商産業省(現経済産業省)に入省。現在は京都大学大学院工学研究科に助教として出向中。著書に『成長なき時代の「国家」を構想する』(ナカニシヤ出版)『自由貿易の罠――覚醒する保護主義』(青土社)など。

TPP参加がもたらすのは農業と食料の危機だけではない。
安売り競争が激化し、底なしの不景気をまねく恐れがある。
TPPの被害を受けるのは農家だけではなく、「100%の国民全体」なのだ。
TPPはデフレを悪化させる

 TPPへの参加を推進する前原誠司外相が、昨年10月19日の講演で「日本の国内総生産における第一次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」と発言した。
 

 この発言が、食料の安定供給や環境保全など、農業の多面的な機能をまったく無視したものであることは言うまでもないが、この暴言とも言うべき愚かしい発言には、もうひとつ、重大な視点が欠けている。それは、TPPへの参加による貿易自由化が、デフレを悪化させるという点である。

 本稿の主題は、その点を明らかにすることにある。そのために、まずは、デフレとは何であるか、何が問題なのかを改めて確認しておこう。
恐ろしい経済の病気、デフレ

 デフレ(デフレーション)とは、継続的な物価の下落のことである。デフレは、需要が不足し、供給が過剰になる状態が続くことによって起こる。反対に、インフレ(インフレーション)は物価が継続的に上昇することであり、それは、需要が過剰で、供給が不足する状態が続くことで起きる。

 デフレとは、物の値段が安くなることなので、良いことだと思われがちである。しかし、実際には、デフレとは、絶対に避けるべき恐ろしい経済の病気と言ってよい。なぜなら、デフレは、経済を動かしている原動力である投資を抑制するからである。

 デフレによる投資の抑制は、次のようにして起きる。

 まず、デフレ、つまり物価の下落とは、同じお金でより多くの物が買えるようになることであるから、言いかえれば、お金の価値が上昇するということである。放っておいてもお金の価値が上がるのであれば、今、支出するよりも、しばらくの間、現金を保有していたほうが、将来においてより得になる。また、今、借金をすると、将来、返済するときに負担がより重くなってしまう。

 このため、企業は、借金をして将来のために支出するよりも、今は支出を控えて、むしろ負債を減らそうとするのである。企業は、一般的に銀行からお金を借りて投資を行なうが、デフレになると、お金を借りて投資を行なおうとはしなくなる。こうして、投資が減退し、経済全体の需要が縮小する。需要の縮小は、さらに物価を下落させ、デフレが悪化する。こうして発生した悪循環が、デフレにほかならない。

 日本は、10年以上も、このデフレにある。このような国は、戦後、どこにもない。
デフレは経済の病気
牛丼1杯が50円になれば、サラリーマンの給料も下がる
 

 さて、懸案の貿易自由化であるが、それは、このデフレという病状を悪化させてしまうのである。

 そもそも、自由貿易のメリットのひとつは、国内外の競争の激化によって、あるいは安価な製品の輸入によって、製品が安くなり、消費者が恩恵をこうむるという点にある。これについては、自由貿易論者であっても、異論はないだろう。

 しかし、デフレに悩んでいる経済においては、安価な製品の輸入は望ましいことではない。安価な製品の輸入によって物価が下がれば、デフレはよりひどくなるからだ。

 TPPによる貿易自由化により、日本の農業が被害をこうむるのではないかと懸念されている。しかし、問題は農家の被害にとどまらない。食料品の物価が下落することによってデフレが進み、経済全体が、国民全体が打撃をこうむるのである。

 例えば、現在、牛丼の安値競争が激化し、牛丼1杯280円とか、あるいは250円とかにまで下がっている。牛丼がここまで下がると、牛丼と競合する他の外食も値段を下げざるを得なくなり、原材料の生産や流通など関連する産業のコスト、とくに人件費も下がらざるを得なくなる。こうして値下げは牛丼にとどまらず、関連産業にも波及して、デフレを悪化させる。牛丼の安値競争で、サラリーマンは喜ぶべきではない。それは、デフレを促進し、企業の投資を冷え込ませ、ひいては自分の給料も下げてしまうのだ。

 そのうえ、TPPにより輸入牛肉と米の関税が撤廃されたら、どうなるかは目にも明らかだ。牛丼は、例えば100円以下とか50円以下とかになり、他の食品との価格競争はもっと激化し、デフレは止まらなくなるだろう。
輸入自由化でアメリカの不況も輸入される

 しかも、リーマン・ショック後の世界大不況において、アメリカからの農産品の輸入自由化によるデフレ効果は、次の4つが相乗して増幅される。

 第1に、関税の撤廃による価格の低下である。

 第2に、安価に生産されるアメリカの農産品の輸入による価格の低下である。

 第3に、ドル安でさらに安くなったアメリカの農産品の輸入による価格低下である。

 第4に、深刻な不況に突入して賃金が上がらなくなり、相対的に安上がりになったアメリカの製品を輸入することによる価格の低下である。

 この4つの効果が相乗するので、アメリカの農産品は極端に安価になって、日本市場に襲いかかるだろう。

 すでに述べたように、貿易自由化は、自国がデフレ不況にあるときにはやってはいけないのだが、貿易相手国もデフレ不況になりそうなときには、なおさら、やってはいけないのである。デフレ国からの製品の輸入は、デフレの輸入に等しいからだ。
政府の農業対策に期待してはいけない

 TPPを推進したい政府は、貿易自由化によって日本の農業が衰退しないよう、農業の生産性を上げるための対策を講ずるつもりらしい。しかし、アメリカの農産物が先ほどの四重のデフレ効果で増幅され、激安となって流入するのに、それでも日本の農業が生き残れる対策とは、いったい、どのようなものなのか。そんな天才的な対策を講ずる能力が政府にあるなら、TPPに入らなくても国際競争に負けない製造業を作るのに、その能力を使えばよいではないか。そのほうがずっと簡単だ。

 さらに、政府の農業対策には、十分な予算が投じられない可能性が高い。なぜなら、農業に対する助成は、WTO(世界貿易機関)交渉で大幅に削減されようとしているからだ。

 現在進行中のWTOのドーハ・ラウンドでは、農業生産者や特定の農産品に対する補助金を大幅に制限する国際ルールを作ろうという議論になっている。もし、この国際ルールが決まれば、日本は、TPPの参加のための農業対策において、十分な予算を出せなくなるかもしれないのである。ただでさえ財政が厳しいという理由で予算が絞られているのに、WTOのルールにも縛られようとしているのである。政府は、TPP参加の条件に、農家に農業対策を約束するかもしれないが、そんな約束は、早晩、空手形であったと判明するだろう。
農業対策が成功してもデフレからは逃れられない

 仮に、政府の農業対策が功を奏し、アメリカの農業に負けない生産性の向上が可能になったとしよう。それならば、確かに日本の農業は、TPPに参加しても生き残ることができるかもしれない。しかし、日本の農業は守れても、安価な農作物の輸入によるデフレを防ぐことはできない。それどころか、日本の農業が生産性を向上させ、安い農作物を出荷できるようになったら、それだけでも食料価格が下がり、デフレが進むのである。

 しばしば忘れられがちだが、生産性の向上はいつも良いことであるとは限らない。生産性の向上は物価の下落をもたらすので、インフレのときは良いが、デフレのときには、かえって景気を悪化させるので、やってはいけないのである。

 生産性の向上のための農業対策は、日本がデフレを脱却し、むしろインフレ気味になってからすべきである。政府は、農業の生産性をどうのこうの言う前に、まずはデフレを脱却することが先決である。そもそも、デフレにならないようにすることは、経済運営の基本ではないか。
アメリカは自国の雇用対策のためにTPPを利用しようとしている
 

 では、「今はデフレだが、将来はインフレになるかもしれないから、TPPに参加してもよい」という考えはあり得るだろうか。

 一見、あり得るようにみえるが、現実は、そう単純ではない。なぜなら、WTOなど既存の国際貿易の国際ルールの中で、「デフレになりそうになったら、関税を上げてもよい」と認めているものはないからである。

 こうした国際貿易ルールは、自由貿易を原理原則とする主流派経済学の貿易理論を基本としている。しかし、その主流派経済学は、貿易自由化がデフレを悪化させるという事態については、まったく考慮に入れていないのである。この主流派経済学の自由貿易イデオロギーが払しょくされないかぎり、「デフレになったら、関税を上げてもよい」という国際ルールが認められることはないだろう。

 とりわけTPPの場合は、そのようなルールはまずあり得ない。なぜなら、TPPを主導するアメリカは、世界不況にある中で、輸出拡大によって自国の雇用を拡大するためにTPPを考えているからである。

 アメリカが輸出拡大によって自国の雇用を拡大しようとしているということは、オバマ大統領自身が明らかにしている。オバマ大統領は、先般のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)横浜会合において、アメリカが今後五年間で輸出を倍増する戦略を進めていることを説明したうえで、次のように発言しているのである。

「それが、今週アジアを訪れた理由の大きな部分だ。この地域で、輸出を増やすことにアメリカは大きな機会を見出している。(中略)国外に120億ドル(約825億円)輸出するたびに、国内に5000人の職が維持される」

 アメリカは、現在、失業率が10%近くにまでなり、オバマ大統領は支持率が急落し窮地に立たされている。それで、オバマ大統領は、輸出の拡大によって雇用を創出しようと必死になっているのである。そのアメリカが「デフレの日本は、インフレになるまで関税を撤廃しなくてもよい」などというルールに合意するはずがない。

 貿易自由化は、農業を衰退させるが国民全体は利益を得るというものではない。それは、デフレを悪化させ、日本経済を衰退させるのである。TPPで被害を受けるのは、国内総生産の1.5%の第一次産業ではなく、100%の国民全体なのである。

 政府は、このデフレという問題をまるでわかっていないから、デフレを放置しているだけでなく、農業対策で生産性を向上させればTPPに参加できるなどと考えるのである。生産性の向上もデフレを悪化させるものなのだ。TPPの問題はデフレにあるのに、デフレを引き起こす農業対策など講じられたら、かえって迷惑である。

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