記事下に出る広告は忍者ブログの仕様でブログ主は関与していません。背景画像はアメリカ国内で行われたTPP反対行進写真です。(TPPとは「自動車」「郵政」「農業」「医薬品・医療機器」などが含まれる「投資」「金融」「通信」「工業」などをはじめとする24もの部会がある原則関税撤廃というルールと交渉内容は非公開の合意のある、初めはニュージーランドなどの小さな国がやっていた貿易協定でしたが2008年から事実上米国が乗っ取って主導権を握り、参加国と米国だけは保護主義で、一方的に自由化を求める米国との過酷なFTA状態になっているものです。)
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TPP交渉へ―何もかも、これからだ 朝日 社説
野田首相がきのう、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉への参加に向けて、関係国との協議に入る考えを表明した。
首相の方針そのものは、良かったと評価する。
だが、民主党内の強い慎重論を受けて方針決定が遅れ、きのうの衆参両院の審議で議論を深められなかったのは国会軽視そのものだった。
首相はもっと早く自身の考えを示し、みずから説得にあたるべきだった。ほとんど国民の理解が広がらないままの見切り発車は残念だ。
首相はきのうの記者会見で、「アジア太平洋地域の成長力を取り入れなければならない。十分な国民的議論を経たうえで、国益の視点に立ってTPPについて結論を得たい」と述べた。
ヒトもモノもカネも国境を越えて行き交う時代に、輪に加わらずにいるのは難しい。これからも国を開いていくのは当然のことだ。
一方で、すでに問題点や疑問が山ほど指摘されている。農業と地方の衰退に拍車がかかる。公的保険や金融などの制度見直しを強いられる、などだ。
さまざまな懸念は、杞憂(きゆう)とも言い切れない。疑問に誠実に答えつつ、日本の経済成長につなげられるか。成否を分けるのは、今後の政府の対応である。
まず、他の参加国に強い姿勢を貫くことだ。交渉に加わるには9カ国すべての同意が要る。交渉に入りたいなら、この分野で譲歩せよと米国などに求められても、安易に請け負ってはならない。不透明な「密約」が明らかになれば、国内の逆風がさらに強まるのは必至だ。
同時に、国内の合意づくりにもっと汗をかかねばならない。民主党国会議員の半数が、現時点での交渉参加表明に反対する署名に名を連ねた。野党も、みんなの党を除けば軒並み反対だ。このままでは交渉に妥結できても、国会での承認に行き詰まりかねない。
首相は、国民の不安を解きほぐす努力をするしかない。交渉で何を勝ち取るのか。「医療制度や伝統文化、美しい農村は守り抜く」というが、どう守るのか。明確にするためにも、国民との対話の場として、東日本大震災で中断したシンポジウム「開国フォーラム」を再開してはどうか。
農業対策をはじめ、しわ寄せを受ける分野へのテコ入れも急がねばならない。
首相は、対外交渉と国内の合意づくりという難しい二正面作戦を、どう指揮するのか。何もかも、これからだ。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
TPP参加へ 日本に有益な「開国」の決断(11月12日付・読売社説)
新たな多国間の経済連携に加わることで「開国」に踏み出す野田首相の政治決断を支持したい。
首相は記者会見で、米国など9か国が進めている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向けて、関係国との協議に入ると表明した。
日本は自由貿易を推進し、経済成長を実現していく必要がある。人口減少などで内需が縮小する日本経済を活性化させるには、成長センターであるアジアの活力を取り込むことが欠かせない。
首相が「貿易立国として、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べたのは当然だろう。
民主党内だけでなく、野党の一部にも根強い慎重論を退け、大局的に判断した意義は大きい。
首相は、「世界に誇る日本の医療制度、伝統文化、美しい農村を断固として守り抜く。国益を最大限に実現する」と述べた。
米国などは、ハワイで12日に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、TPPの大枠合意を目指しているが、詰めの交渉は来夏ごろまで続くとみられる。
TPPは、物品の関税撤廃だけでなく、サービス、知的財産など幅広い分野に及ぶ。貿易や投資ルールで日本に有利になるよう、主張することが求められる。
昨秋の横浜APECは、域内の貿易や投資を自由化する「アジア太平洋自由貿易圏」(FTAAP)構想を2020年ごろまでに実現する方針でほぼ一致した。
TPPはFTAAP実現に向けた重要なステップになる。日本は韓国などに比べ、経済連携戦略で出遅れた。TPPを足がかりに、巻き返しを図らねばならない。
TPP参加は、日米同盟関係も深化させる。経済・軍事大国として存在感を強める中国への牽制(けんせい)という点でも重要だ。
だが、ハードルは少なくない。日本の交渉参加には、米国など9か国の了承が要る。米国では議会承認を得るルールがあり、日本の参加時期が来春以降にずれ込みかねない。政府は米国に速やかな対応を働きかけるべきだ。
TPP交渉では、日本が何を守り、何で譲歩するのか、焦点の農業分野などの市場開放を巡って、難しい対応を迫られる。
中長期的には、農業の国際競争力を強化し、農地の大規模化や、生産性向上を計画的に図っていかねばならない。首相の重い決断を農業改革に生かすことが、日本の進むべき道だろう。
(2011年11月12日01時44分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20111111-OYT1T01336.htm
TPP交渉参加 攻めの戦略で国益守れ 実効性ある「司令塔」構築を 産経 社説
2011.11.12 03:07 [主張]
資源に乏しい日本が貿易立国として生き残っていく上で、アジア太平洋に21世紀の貿易経済共同体構築をめざす枠組みに加わるという意味ある選択が下された。
野田佳彦首相がようやく環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への「参加に向けて関係国と協議に入る」と明言したことだ。
参加表明は入り口に立ったにすぎない。既に米国など9カ国が交渉中だ。今後は各国の複雑な利害が絡む中で出遅れを回復し、新たな貿易ルールづくりにどこまで主導権を発揮して日本の国益を確保できるかが問われる。
≪日本版NSCの検討を≫
それにはしたたかで、しなやかな交渉戦略とパワーが不可欠だ。各省庁を束ね、実効性ある「司令塔」を築けるかどうかである。野田首相は国家戦略会議の強化や、日本版の国家安全保障会議(NSC)創設なども検討すべきだ。
首相は11日夜の記者会見で「貿易立国としてフロンティアを開拓する」と述べ、「国益を実現する第一歩になる」と参加交渉の意義を強調した。
農業など国内への悪影響を恐れる慎重論が広がり、与党の民主党も積極参加を打ち出せなかった。首相自身の決断表明が1日遅れたのも極めて遺憾といわざるを得ないが、最終的に国益に合致する判断を下したのは当然といえる。
少子高齢化が進む日本は、海外の成長をとりいれなければ経済活動の縮小が避けられない。アジアと米、豪などを含むTPPに参加しない選択肢はあり得ない。
内閣府の試算によれば、関税撤廃の効果だけで10年後に国内総生産(GDP)が2・7兆円増加する。域内投資効果も考えれば、より大きな成長が期待できる。成長を実現しなければ、超高齢化社会を支える財源確保は難しい。
新たな自由貿易圏に参加する意味も大きい。クリントン米国務長官は10日、ハワイのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向けたアジア太平洋の包括戦略を明らかにし、日韓との同盟強化やTPPを柱とする取り組みを本格化した。TPPでは、自由化や制度の透明化などを通じて「21世紀の貿易共同体」を築いていく意欲を訴えた。
APECではオバマ大統領との日米首脳会談も行われ、首相は日米で中国に対抗していく戦略的連携を踏まえた認識が必要だ。
TPPの交渉対象は食品安全、医療、金融、知的財産権など21分野に及ぶ。アジア太平洋全体の地域経済統合の枠組みに発展していく可能性が高い。国益をしっかりと踏まえ、国際標準ルールを築く覚悟で交渉すべきだ。
原則すべての関税撤廃が目標だが、最長10年の猶予が認められるため、例外品目をめぐる攻防が激しさを増している。コメなど農産品の関税、知的財産権に関するルールづくりなどでいかにメリットを最大化し、デメリットを最小化するかが重要だ。
≪農業改革の好機にせよ≫
経済産業省や農林水産省など省庁縦割りで対応する従来の交渉では乗り切れない。オールジャパンで一丸となって交渉する態勢の構築がかぎだ。米通商代表部(USTR)のように、司令塔としての権限を持った機関や専任担当相の創設も検討すべきではないか。
国論が二分された状態は解消すべきだ。積極的な政府の情報開示と透明性が必要である。慎重派が抱く懸念には説明を尽くし、不利な状況を覆せない分野には具体的対策を講じなければならない。とくに参加反対論の中心となった農業問題は重要だ。米、豪よりも生産規模の小さい日本農業への影響は大きいが、高齢化と担い手不足が続けば衰退は必至だ。TPPを契機に農業改革を進める「攻め」の知恵こそが求められている。
具体的には農地を集約して規模を拡大し、生産性を高める仕組みが不可欠だ。世界貿易機関(WTO)ルールで認められた農家の所得を直接補填(ほてん)する制度の活用もある。現行の戸別所得補償のようなバラマキは論外だが、生産規模拡大や品質向上をめざす専業農家を手厚く支援する対策が必要だ。
国内には「TPPは米国のゴリ押し」といった批判も根強いが、米議会にも日本の参加に賛否両論がある。いずれの国も自国の国益をかけている。せめぎ合いの世界だ。グローバル経済を生き抜く覚悟とタフさがなければ、日本は立ち枯れしてしまいかねない。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111112/fnc11111203070002-n1.htm
社説:TPP参加表明 日本が協議リードせよ 毎日
反対論が渦巻くなか、野田佳彦首相が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の参加に向け関係国と協議に入る考えを表明した。少子高齢化が進み経済活力を失った日本は、何としてもアジア太平洋地域の成長力をわがものとする必要がある。TPPはそのための有力な手段だ。首相の決断を評価したい。
国を二分する激論も当然だ。関税の原則撤廃などハードルが高いうえに、交渉分野は21にものぼる。農協が「日本農業が壊滅する」と強く反発。医師会も「健康保険制度が崩壊する」と反対に回った。
◇大きな消費者利益
しかし、貿易自由化による消費者利益は生産者のマイナスを上回る。多くの経済学者の一致した見解だ。ただ、その利益は薄く広い。一方、被害は局所的だが具体的だ。反対論が広がった理由だろう。
その典型がコメ。食糧安全保障とからんで懸念が集中した。だが、TPPに参加しなければ日本の米作は再生できるのか。先の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)の代償措置として、約6兆円もの巨額の補助金が支出されたが、衰退は止まっていない。減反で埼玉県に匹敵する広さの耕作放棄地が生まれた。食糧安保に反する事態だ。
TPPで米価が下落しても、戸別所得補償をばらまきから農地集約の方向に転換すれば、日本のコメ農家は保護できる。競争力が強化され本格的なコメ輸出も展望できる。
また、米国は豪州産の砂糖を輸入自由化の例外としており、TPPでも譲る気配がない。日本も国益と判断すれば、あらゆるものを自由化の例外に留保する権利がある。交渉する前からカゲにおびえず、主張すべきは主張すればよいのだ。
TPPへの反対論がここまで勢いをえたのは、米国への不信と恐怖心があったからだろう。確かに米国はこれまでさまざまの機会をとらえ、米国産品の市場参入を求め各国政府に注文をつけてきた。
例えば健康保険の制約で米国の医薬品が売れないとか、たばこの箱のデザインが害毒を強調しすぎているのが貿易障壁だとか、安全と認定された遺伝子組み換え食品ならば、遺伝子組み換え食品であるとの表示は不要、などと要求した例がある。
米国がTPPでこうした要求をしてこないとは言い切れない。だが、不都合ならば拒否すればよいだけの話だ。対米警戒感はTPP参加国に共通している。ニュージーランドや豪州では、米国の医薬品業界の圧力に屈して健康保険制度を改悪することはありえない、と国民に向け政府が声明している。TPPは2国間協議でなく多国間協議だから共闘が可能である。米国も勝手なことができない。大きなメリットだ。
投資分野では、進出企業が投資先政府の措置で損害を受けた場合、仲裁機関に訴えることができる投資家対国家紛争処理条項(ISDS)が各国で問題になっている。
日本はこれまで経済連携協定(EPA)でこの条項を入れるように努めてきた。日本企業の海外進出は拡大する一方であり、途上国に対しては投資保護に不可欠という位置づけだ。ところが、TPPにからんでは「治外法権」などと論難する声が強かった。的外れではないか。
◇自信失った日本人
貿易立国を国是とするはずの日本で、TPPへの反対がこれだけ支持を集めたのはなぜだったのだろう。いわゆる「失われた20年」を経験する中で、日本人は自信を失い、競争をおそれるようになったようだ。その意味は重い。しかし、停滞を脱するには打って出るしかない。
かつて欧州から焼酎が目の敵にされた。酒税がウイスキーは半減、焼酎は3倍になって存立の危機をむかえたが、焼酎業界は品質の向上、ブランド化で需要を喚起し、滅びるどころか売り上げを急増させた。競争から逃げていたら焼酎業界の発展はなかった。
アジア太平洋地域は世界の成長センターであり、日本の未来はこの地域にかかっている。地域全体をカバーするアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を早くつくりたい。この大枠の戦略で、日本は米国と利害をともにする。TPPを拡大してFTAAPに育て上げるねらいだ。とりわけ中国の取りこみが、TPPの大きな目標である。
一方で中国は中国主導の経済秩序作りを構想している。アジア太平洋地域の経済統合がTPPで行われるか、中国主導で進むかの競争が始まっている。日本のTPPへの参加は日米同盟から自然なだけでなく、市場の透明性、公平性を重視する国として当然の選択であろう。
日本はTPPだけでなく中国が呼びかけている日中韓の自由貿易協定構想にも積極的に参加すればよい。日本がTPPへの参加を示唆しただけで中国や欧州が自由貿易協定(FTA)を打診してきた。TPPは日本の交渉力を非常に高めている。
TPPは日本再生の魔法のツエではないが、日本を陥れようとするワナでもない。農業再生を力強く進めつつ、TPPに積極参加し、日本の国益を実現するため、その交渉をリードしていこう。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111112k0000m070146000c.html
「攻め」のTPP交渉で日本の舞台広げよ 日経
2011/11/12付
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE1E4E6E6E4E3E2E2E3E0E3E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
野田佳彦首相が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に踏み出した。日本の経済成長には貿易や投資を通じて海外の活力を取り込む戦略が欠かせない。決断は遅れたが、これから心機一転、新たな通商ルールづくりや国内の農業改革に果敢に挑むべきだ。
首相は記者会見で「貿易立国として繁栄してきたわが国は、アジア・太平洋の成長力を取り入れていかねばならない」と語った。同時に「世界に誇る医療制度や日本の伝統文化、美しい農村は断固として守り抜く。十分な国民的な議論を経た上で国益の視点に立って結論を得ていく」と強調した。
民主党内の慎重意見にも配慮した格好だが、個別業界などの利害を超えて大局的な判断を下した意味は大きい。反対論には誤解に基づくものも多く、政府は今後も丁寧に説明していく必要がある。
これまでの論争は、米国が推進するTPPに日本がどう対応するかという「守り」の視点が目立った。農業や医療の改革に抵抗するTPP反対論の声の大きさに押され、国内への影響は限定的との説明を政府は繰り返してきた。
TPPの実像は建設中の「家」のようなものである。基礎工事が終わり、ようやく骨組みを築き始めた段階と考えるべきだ。青写真は日本抜きで描かれたが、入居するなら、日本の国益を反映した家を建てなければならない。
日本が加われば、日本の経済規模はTPP圏の4分の1を占め、米国に次いで2番目に大きい「住人」である。交渉中の協定の細目だけでなく、必要と判断すれば設計変更を求めてもよいはずだ。
シンガポール、マレーシアなどアジアの交渉国は日本の参加を歓迎している。いまは米国の市場開放要求にアジア側が応える偏った力関係になりがちだからだ。米国とも渡り合いながら、アジア・太平洋の通商ルールづくりを主導していくのが日本の責務である。
米政府は、12日に始まるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、TPP協定の輪郭を固めようとしている。だが、今後の交渉期限は定まっていない。
米国では来年秋の大統領選を控え、保護主義的な勢力のオバマ政権への圧力も強まるだろう。世界貿易機関(WTO)交渉は米国の熱意が冷めて迷走状態に陥った。TPPをその二の舞いにしてはならない。今こそ自由貿易を推し進める日本の実行力を示すときだ。
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